No.264 中国のIT事情  その4: 中国のモバイルペイ

ITコラム
2018年8月29日

ISO 飛鳥 石橋一史によるITコラム
~帝国ニュースに掲載されたものを紹介していきます~

ひと昔(10年)前の日本は[おサイフケータイ]など、世界でもっともモバイル決済が進んだ国だった。しかし現在、日本のモバイル決済利用率は6.0%、中国ではなんと98.3%(都市圏)という。この影響は、マレーシアなどの東南アジア隣国にも波及している。

従来のモバイル決済は、各店舗に端末設備を必要としているハードがらみ、いわゆるクレジットカード会社と機器メーカーが主導する仕組みであり、中国にも同等の仕組みもあるが、急伸しているのは、店舗に端末機器を置かずQRコードの印刷された紙を置いておくだけのものだ。

買い物をした客は、予めインストールしたモバイル決済アプリで店舗のQRコードを読み取り、本人の口座から店舗の口座に送金するといういたって簡単な仕組みとなっている。

中国版モバイル決済は、アリババの創業者馬雲氏が率いるネット販売大手の「Alipay:アリペイ」と中国IT企業テンセントの「WeChat Pay:ウィーチャットペイ」、この二大勢力が牛耳っており、手数料もタダに近い金額という。コストが掛かり、手数料も高い“端末機器据付方式”と “紙のQRコード方式”では勝負になるはずがない。

「Alipay」や「WeChat Pay」にしてみれば、手数料収入より、市場情報の収集を目的にしているという。故ジョブズのApple Payも敵わない、ものすごい戦略が展開されている…

格言:資本主義では人が人を搾取し、共産主義では人が人に搾取される。結局、同じだ!