No.256 労働安全衛生マネジメントシステム その2:誕生
ITコラム
2018年7月4日
ISO 飛鳥 石橋一史によるITコラム
~帝国ニュースに掲載されたものを紹介していきます~
日本では、労働安全衛生に関する独自の規格がある。厚生労働省の「労働安全衛生管理システムに関する指針」に基づき、1999年に建設業労働災害防止協会(建災防)が、世界標準のOHSASに、建設業を意味する「Construction」の“C”をつけてもじってCOHSMS[Construction Occupational Health & Safety Management System]と呼んでいるものだ。
これは建設業種固有の特性を踏まえ、安全衛生管理の仕組みを示したものだが、制度的な問題がある。それは、このCOHSMSが事業所・事業部を限定して登録できる制度となっていることだ。そのため、土木、建築、若しくは公共工事と民間工事といった具合に、登録している部門と、そうでない部門の部署間で、認識の度合いが異なる傾向になっている。
本来、マネジメントシステムは、組織に関わるすべての利害関係者で管理の仕組みを定め、運用すべきものであり、部門を限定して登録されるものは、マネジメントシステムとは言い難い。労働安全衛生の場合、現場部門と事務部門ではリスクの度合いが大きく異なるが、組織にリスクのない部門が存在するはずはなく、それぞれの部署ごとのリスクおよび程度を評価して、その度合いに適した合理的な管理策を構築・運用すべきである。
このようななか、本年3月ISO労働安全衛生がISO45001として国際規格が制定され、秋頃にはJIS化される。これは、部門を限定して登録することはできない。
来週は、ISO45001の中身について…
実業家アンドリュー・カーネギーの言葉:金持ちのままで死ぬのは不名誉な死である。